韓国語には語頭・語中どちらにあるか、また前後の文字の関係性などで発音の仕方が変化するルールが存在します。
今回は発音のルールについて解説していきたいと思います。
有声音化(濁音化)
母音もしくはパッチム「ㄴ・ㄹ・ㅁ・ㅇ」の後に「ㄱ・ㄷ・ㅂ・ㅈ」から始まる文字が続く場合、「ㄱ・ㄷ・ㅂ・ㅈ」が濁音化します。
濁音化するのは子音「ㄱ・ㄷ・ㅂ・ㅈ」だけで、それ以外の子音は変化しません。
濁音化について
부부(夫婦)
「부」+「부」ですが、2つめの「부」の前には母音「ㅜ」があるため「부부」となり2つのめ「부」が濁音化します。
일본(日本)
「일」+「본」ですが、「본」の前にパッチム「ㄹ」があるため「일본」となり「본」が濁音化します。
連音化
パッチムの次に無声母音「ㅇ」が続く場合、そのパッチムが「ㅇ」に移動して連音化します。
ただし二重パッチムの場合、後ろの子音のみ「ㅇ」に移動します。
連音化について
회사원입니다(会社員です)
「회사원(会社員)」+「입니다(~です)」となりますが、「원」のあとに母音「ㅇ」が続くため、パッチム「ㄴ」が移動します。
※発音[회사워님니다]
책을 읽어요(本を読みます)
語中に含まれる「읽어요」は、基本形動詞「읽다(読む)」の敬語表現です。
「읽」には二重パッチム「ㄺ」があり無音記号「ㅇ」が続くため、発音ルールに則ってあとの方のパッチム「ㄱ」が移動します。
※発音[일거요]
鼻音化
口音発音のあとに鼻音子音「ㅁ・ㄴ」が続く場合、パッチムは鼻音に変化します。
鼻音化について
입니다(~です)
パッチム「ㅂ」のあとに子音「ㄴ」が続くため、パッチム「ㅂ」が鼻音「ㅁ」に変化します。
※発音[임니다]
鼻音化は [k型・p型・t型] 属する型によって、どの鼻音に変化するかが決まります。
下の表を見てわかるとおり、型が同じ鼻音に変化します。
パッチム
口音 | 鼻音 | 流音 | |
k型 | ㄱ ㅋ ㄲ | ㅇ | |
p型 | ㅂ ㅍ | ㅁ | |
t型 | ㄷ ㅅ ㅆ ㅈ ㅊ ㅎ ㅌ | ㄴ | ㄹ |
数の少ないk型とp型を先に覚えて、数の多いt型は「k型・p型以外」のように覚えると良いでしょう。
流音化
パッチムとそのあとに続く子音が「ㄹ」と「ㄴ」、または「ㄴ」と「ㄹ」の場合は、どちらも「ㄹ」になります。
ただし2つの語が合成された単語の場合、どちらも「ㄴ」となります。
流音化について
편리(便利)
※発音[펼리]
일년(1年)
※発音[일련]
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弱音化
鼻音や流音のあとに「ㅎ」が続く場合、弱音化によって「ㅇ」に変化、直前のパッチムは連音化によって移動します。
弱音化について
은행(銀行)
子音「ㅎ」が弱音化によって「앵」となり、直前のパッチム「ㄴ」は連音化によってあとに続く文字に移動します。
※発音[으냉]
激音化
- パッチム「ㅎ」と子音「ㄱ・ㄷ・ㅂ・ㅈ」が続く場合、激音化により子音「ㅋ・ㅌ・ㅍ・ㅊ」に変化します。
- パッチム「ㄱ・ㄷ・ㅂ」と子音「ㅎ」が続く場合、パッチムが連音化して移動したのち、激音化により「ㅋ・ㅌ・ㅍ」に変化します。
激音化について
졸업합니다(卒業します)
パッチム「ㅂ」のあとに子音「ㅎ」が続くため、激音化により「ㅍ」となります。また連音化もします。
※発音[졸어팝니다]
濃音化
パッチム「ㄱ・ㄷ・ㅂ」に子音「ㄱ・ㄷ・ㅂ・ㅅ・ㅈ」が続く場合、続く子音は濃音化により「ㄲ・ㄸ・ㅃ・ㅆ・ㅉ」に変化します。
濃音化について
식사(食事)
パッチム「ㄱ」のあとに子音「ㅅ」が続いているため、続く子音は濃音化によって「ㅆ」となります。
※発音[식싸]
口蓋音化
パッチム「ㄷ・ㅌ」のあとに「이」が続く場合、あとに続く文字は「지・치」に変化します。
口蓋音化について
같이(一緒に)
パッチム「ㅌ」のあとに「이」が続いているため、「치」となります。
※発音[가치]
母音「ㅢ」
「의」は単語の語頭にくるか語中にくるかによって発音の仕方が異なります。
語頭にくる場合⇒「ウィ」、語中にくる場合⇒「イ」となります。
母音「ㅢ」について
의사(医者)
「의」が語頭にくるため「ウィ」と発音します。
편의점(コンビニ)
「의」が語中にくるため「イ」と発音します。
無音記号「ㅇ」があるので連音化もしています。
二重パッチム
ほぼカナダラ順の早い方を優先して発音します。
子音の順番は「ㄱㄴㄷㄹㅁㅂㅅㅇㅈㅎ」となります。
母音「ㅏ」をつけて「カナダラマパサアジャハ」といったように覚えると良いでしょう。
連音化でも触れてますが、「읽어요」のように後に無音記号「ㅇ」がくる場合はどちらも発音します。
二重パッチムについて
읽다(読む)
カナダラ順の早い「ㄱ」を発音します。
二重パッチムは全部で12種類
ㄲ | ㄳ | ㄺ | ㄵ | ㄶ | ㄼ |
ㄽ | ㄾ | ㅀ | ㄻ | ㅄ | ㄿ |
さいごに
これまで説明したように韓国語には発音のルールがいくつも存在します。
慣れないうちは大変かもしれませんが、頑張って韓国語の発音を覚えていきましょう。
ちなみに韓国人はあまり発音の違いについて意識して話していません。
「発音しやすいから」という理由で変化した言葉も存在します。
また韓国人は濁音の明確な違いを意識して話していないため、その違いを区別するのが難しいです。
たとえば日本語の「学校(がっこう)」を「学校(かっこう)」と発音してしまうことがあります。